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アメリカの大学は、自分のポテンシャルを引き出せる場所 〜(東京)、DVC、そしてUC Berkeleyへ〜 鈴木由宇子


Interviewer: DVC次郎

DVC在学期間:

Lakeland University 2016 Fall – 2017 Spring →

DVC Summer Bridge 2017 → Orange Coast College 2017 Fall → 

DVC Spring 2018 – Spring 2020 / Total 114 (DVCのみだと76)Credits修了/ Junior year transfer

Major: Society & Environment / Molecular Environmental Biology

語学学校・ELSスクール: NIC International College in Japan


決意〜実際に留学するまで

“留学”—

 学生時代に日本を飛び出して、世界の多様性を体感し、自分の可能性を広げる掛け替えのない時間。

今日、多くの日本人学生が海外への大学進学に興味を持っていると思います。けれども、留学を夢見るだけではなく、それを実現するまでには様々なハードルがあるのも事実。実際に留学を実現してきた先輩たちは一体どんなステップを経て海を渡って行ったのでしょうか。留学を志すキッカケから、留学に向けた情報収集、さらには進学先の選び方まで、留学が実現するまでの道のりに一つとして同じものはありません 。夢を実現されていった先輩がたへのインタビューを通して、留学のスタートラインに立つまでのプロセスに迫ります 。

· どのような点で一般的な小学/中学/高校生とは違う学生生活だったのですか?【特殊な環境情報の読者提示】


A.

小学校は親の意向でインターナショナルスクールに通っていたのですが、日本の教育システムも経験してみたいと思い、中学校は地元の公立中学へと進学しました。今思えばこれが私にとっては失敗で、インターナショナルスクールという多様性と自由を尊重する環境で育ったせいか、日本の学校の典型的な教育方針である、ユニークさを悪とし足並みを揃える事を良しとする風潮が合わず、周りにうまく馴染む事が出来ませんでした。結果、学校が嫌いになり、中学校は休みがちでした。その後高校は都内の私立の女子校へ進学しましたが、やはり周囲にうまく溶け込む事が出来ず、かつ厳しく規律を重んじる校風が合わず退学し、その後通信制の高校へ入学し19歳で卒業しました。




· その当時、勉強以外で打ち込んでいたことは何か有りますか?【読者との共通点要素提示】

A. 小さい頃から自然や生き物が大好きで、犬や猫を始め亀、ハムスター、魚などたくさんの生き物を飼っていました。特に大好きだったのがアクアリウムで、金魚やメダカ、熱帯魚に海水魚と幅広く飼育していました。


アクアリウムを作る過程では、酸素や二酸化炭素の量、光量、水槽の中の植物や生体の量、土の種類、嫌気性バクテリアと好気性バクテリアをいかにフィルターに定着させて生物濾過を促すか等、考慮しなくてはならない事が物凄くたくさんあるんです。これらの生態系のバランスが少しでも崩れてしまうと、アクアリウムは崩壊してしまいます。これって、地球そのものですよね?これが私が生物や環境の勉強に興味を持ったきっかけです。


また、中学高校と不登校気味だったので、家で絵を描いたり、その絵をHTMLやCSSの勉強をしてウェブサイトを作ってネットにアップしたり、家に引きこもってクリエイティブな事をたくさんしていました。


· どんなキッカケで留学を意識し始めたのですか?【留学の扉を開く機会の共有】

A.


中学高校ですっかり学校が嫌いになり、高校卒業後は大学へ進学する意思がなかったのですが、友人の紹介である大学のインカレの国際交流サークルに参加させて貰い、友人達が大学で楽しく学んでいる姿に刺激を受け、自分も大学に行きたいと思うようになりました。中学高校と棒に振ってきた学生生活というものに憧れがありましたし、学校が嫌いなだけで勉強自体が嫌いなわけではなかったので、自分と同じ興味を持った仲間たちと一緒に勉強するのは楽しそうだなと思ったんです。そして、その国際交流サークルで世界中の様々な国から来た留学生達と話しているうちに、大学の選択肢は日本国内だけではなく世界中にあるという意識を持った事が留学を考え始めたきっかけです。また、日本の学校ではうまく周りと馴染めなかったので日本の学校にはもう行きたくないという考えもありました。


· 留学を目指してからどのような準備をされてきたのですか?【留学実現までの準備段階の情報共有】

A.

インターナショナルスクールに通っていたのは小学生の時なので、語学力に自信がなく、留学に特化した語学学校をネットで探し、家から一番近かったNIC International College in Japanに通い始めました。これが自分的には大当たりで、ここで基本的なエッセイの書き方を学んだり英語力を高めると共に、たくさんのかけがえのない友人を作ることが出来ました。また、NICは留学を志す人達(おそらく、一般的な日本の学生集団の中では変わり者達)が集まるお陰か、それまでの日本の学生生活で感じたような周りと親和しなくてはならないという同調圧力は感じず、伸び伸びと勉強出来た事も良かったです。NICで勉強を頑張れたお陰で自分に少し自信が付き、NIC在学中に自分は絶対にUC BerkeleyかUCLAに合格したいという決意が生まれました。NICのスタッフにもいつもその事を伝えていたので、今年UC BerkeleyとUCLAに合格した事で有言実行出来た事、NICに良い報告が出来た事が本当に嬉しかったです。


· 何故、世界に数多くある留学先の中でアメリカを留学先に選んだのですか?【留学の目的意識】

A. 前述したように昔から生き物が大好きだったので、最初はオーストラリアで獣医学を学ぼうと思っていました。でも、日本の動物病院でボランティアをするうちに自分に本当に獣医という職業が合っているのか疑問に思い始めました。そこで、生き物そのものや環境について学ぼうと思い、それをNICのスタッフに告げると、生物学や自然科学はアメリカの大学の方が進んでいるということで、アメリカを留学先に選びました。



· 何故、西海岸(東海岸でなく)のしかもDVCを留学先として選んだのですか? 【学校選定の条件】

A. せっかく留学へ行くのなら世界でもトップレベルの大学に編入したいと思い、UC BerkeleyやUCLAに編入しやすいカリフォルニアを留学先に選びました。DVCとOCC(Orange Coast College)とどちらに行くか迷い、NICのスタッフに我儘を聞いて貰い、2017年のSummer BridgeはDVCで受け、FallはOCCに行きました。結果、DVCの勉強熱心な雰囲気の方が自分には合っていると思い2018 SpringにDVCに戻ってきました。


DVCでの2年間

それぞれの夢を携えて、ついにはこのDVC への留学を実現されて行った先輩たち。

アメリカでの生活や大学の授業を通じて新しい世界と出会い夢が広がることもあれば、留学の厳しさに挫けそうになったりすることもあったかと思います。実際に先輩たちが経験した大学生活の体験一つ一つのお話から留学のリアルを感じ取れるはず。私達のかようDiablo Valley College (DVC)というコミュニティカレッジには、そもそも4年制大学への編入やOPTを想定して入学してくる留学生が多いので、先輩たちがどのようにその後の進路に向けた準備をされていたのかについても詳しく教えて頂きました。自由の国アメリカだけに、どのようなコミュニティに参加し、どんな人達と出逢い、どんな大学生活を送るかは本人次第。先輩たちが経験した生のDVCエピソードを伺っていきます 。

· 登録するCourseやProfessorを絞る際にどのような基準で選んでいましたか? レジストリのコツ伝授】

A. Rate my professorと友人からの評判、あとJAの提供している授業評価シートです。編入にはGPAが一番大切なので、教授選びにはとても慎重でした。毎学期必ずNote takerのボランティアをしてearly registrationの権利を獲得し、確実に入りたいクラスに入れるようにしていました。


· どのような思いで課外活動に選び、そして参加していたのかを教えてください。【Extracurricularの参加基準の参考】

自分が楽しく没頭できるものを選びました。例えば私がDVC在学中に行った課外活動は、Marine Science Clubの立ち上げ(President)、BiologyとGeographyのTutor, OceanographyのTeaching Assistant、日本語教室でのボランティア、JSA(現JA)の立ち上げとウェブサイト作り(今みなさんがこの記事を読んでいるこのサイトです)、ガラパゴス島での環境保全のボランティアなどです。


私は人に教える事が好きなので、TutorやTAの仕事はとても楽しんで打ち込む事が出来ました。また、自分が大好きな自然科学やBiologyに関わる課外活動をする事で自分自身も楽しめるし、自分が本当に心の底からそれらのメジャーを学びたいという意気込みをTransferの際にアプリケーションで伝えることが出来ると思います。ウェブサイト作りも、自分が昔打ち込んでいた趣味の延長なのでとても楽しく取り組む事が出来ました。


詳しくは後述しますが、肩書きの見栄え等に囚われず自分が本当に心から打ち込める課外活動に取り組むというのが、アプリケーションにおいても人生においても一番大切です。私はASDVCにも参加しましたが、これは自分の課外活動の見栄えを良くする為に取り組んだので心から積極的になれず、中途半端に時間を浪費して終わってしまったなと感じます。自分が心からやりたい事だけに時間を割かないと、時間が勿体ないです。



· DVC在学中に奨学金を取得されていたようですが、内容を教えてもらえますか?【Financeの選択肢とその規模と難易度】

A. OCCからはNICを通じて特待生が貰える奨学金、DVCからはFoundation ScholarshipというFirst generation college studentが貰える奨学金、あとUC IrvineからはDirectors’ Scholarshipという年間$10,000が貰えるのに加え在学中の寮費が無料になる奨学金のオファーを頂きました。



· トランスファーに向けた準備をする上で重要なことはありますか?【編入に向けた準備タイムラインの共有】


エッセイの準備を早めに始める事はもちろん、エッセイに自分の心を映し出せるような、自分が心から打ち込める課外活動に従事する事がトランスファーの準備で一番大切です。


まず、早めにエッセイの準備を始める事は基本であり大切な事です。UCのPersonal Insight Question(エッセイ)で問われる内容はほぼ毎年変わらず、いつでもUCのアプリケーションのサイトでチェック出来るので、私はUCのアプリケーションが始まる一年以上前から質問をチェックし、自分が今やっている事はPIQでどの質問に当てはめることが出来るだろうか?どのように表現出来るだろうか?と、よく自問自答しながらイメージしていました。


更に、私はエッセイの一字一句にこだわり、DVCのカウンセラー、英語の先生、Berkeleyのアドミッションなど様々な人に読んで貰い、最終的に誰に見せても誇れるようなエッセイを書き上げましたが、そうなるまでに20回以上は全て書き直しましたので、とても時間がかかりました。11月に入るとカウンセラーの元へエッセイを見てもらいたい人が殺到するので、すぐに予約が満杯になります。早めに準備するに越したことはありません。遅くとも9月にはアウトラインを始め、10月にほぼ内容を完成させ、11月はひたすらブラッシュアップでエッセイを洗練させていくというタイムラインが理想です。


そして、トランスファーの準備において、エッセイに自分自身をそのまま投影出来るような課外活動に普段から従事している事が一番大切です。Personal Insight(自分自身への洞察、深い理解)Questionというだけあって、PIQで一番大切な事は本当のユニークな自分自身を見せることです。Applyする学生のGPAは似たりよったりなので、いかにユニークなアプリケーションを準備出来るかがライバルとの差別化を図るうえでとても重要です。見栄えを気にした課外活動ばかりをやっていると、自分の本当の気持ちが入っていないので内容も薄っぺらくなり、アドミッションも即座にその事を見抜きます。


私は実際、一番最初のMajorへのpreparationを問う質問で、自分がOceanographyのTAをした経験をひたすらかっこよく見栄え良く書いていましたが、アドミッションに見せた時に、私が何故そのMajorを勉強したいのかというパッションが伝わらないと言われ、全て最初から書き直しました。その際、自分が子供の頃から自然や生き物が好きな事、アクアリウムに没頭した事、それがきっかけで生き物や環境に興味を持った事、それがOceanographyのTAの経験に繋がった・・・という風に、本当の自分の気持ちや情熱を込めました。


普段から自分が心から打ち込めることに自分の時間を使っていないと、このように情熱的なエッセイは書けません。見栄えや肩書きにばかりにこだわった課外活動に時間を割くより、自分が本当に愛していることに時間と情熱を注ぐ事、これがトランスファーの準備においても、人生においても一番大切な事です。この事が良いエッセイ、ひいてはアプリケーションで唯一無二のユニークさをアピール出来る強みに繋がっていくと思います。




· 4年制大学へのトランスファーで苦労した点を教えてください。【私大学挑戦への心構え】

A. 高いGPAを維持することです。私は数学でBをひとつとってしまい、それ以降絶対にBを取りたくなくて、Bを取りそうになったクラスを3つも落としたため、私のトランスクリプトにはWが3つあります。実際に合格するまでは、この3つのWがどのように影響するのかわからなかったのでとても不安でした。

カリフォルニア大学バークレー校への編入後

DVCを巣立って行かれた先輩たちの多くが4年制大学へトランスファーを果たしています。合衆国ですので、教育制度そのものが州ごとに別れているものの、カリフォルニア州からは様々な大学への編入が可能です。全米に渡って旅立たれた先輩たちがそれぞれの新天地にて一体どのようなキャンパスライフを送っているのか、DVC卒業生ならではの視点からいろいろと貴重なお話を聞くことが出来ました。

·カリフォルニア大学バークレー校で苦労することはなんですか。【4年制大学の生活環境】

A.


UC Berkeleyの授業が大変だとは聞いていましたが、本当に大変です。以前Berkeleyの先輩が24時間勉強しても追いつかないと言っていたのを痛感しています。例えばクイズひとつ取っても、DVCの時のように直前にちょこっと勉強すれば間に合うようなものではなく、授業を普段からちゃんと聞いてしっかり理解していないと解けないような難問ばかりです。


例えば、今取っているプログラミングの授業のクイズでは、「○○というコードの意味は?」といった程度の事が問われるのかと思いきや、「○○というコードを使って新しくコードを書きなさい」といった具合に、ボキャブラリーをただ暗記しているのではなく、しっかりと中身を理解しているのか、そしてそれを現実世界で応用出来るのかを問うような問題ばかりです。


しかし、DVCの先生方(主に理系)は、DVCの生徒がBerkeleyに行っても落ちこぼれにならないように普段から授業の難易度を上げてBerkeleyと同じレベルの授業をしていると聞いたことがあります。実際、私が今Berkeleyで取っているPhysicsの先生は、同時にDVCでもPhysicsを教えています。あんまり評判は良くない先生ですが(笑)。以前DVCで取ったEnglish 123の先生も、Berkeleyで英語を教えている先生でした。このように、Berkeleyと同じレベルの授業を受けられるというのは、DVCに通うメリットのひとつですね。しかし、DVCで訓練されていたとしてもなお、Berkeleyの授業は難しいと思います。



最後に

· 留学を、そしてこれから編入を目指している後輩たちに向けて一言お願いします 【後を追うものに向けた希望の言葉】


もし日本で息苦しさ、生きにくさを感じているなら、そして自分の事を落ちこぼれだと思っているなら、世界はとても広くて必ず自分のポテンシャルを引き出せる場所を見つけることが出来ると伝えたいです。私は周囲に合わせる事が苦手で、日本の学校ではいつも浮いていました。その結果、私は学校が大嫌いになりまともに通わず、当然学校の成績も振るわず、落ちこぼれの落第生でした。そして、自分は勉強が出来ない駄目な奴だと思い込んでいて、自尊心も低かったんです。


でも、アメリカの大学では、色んなバックグラウンドを持った人々が年齢や職業に関わらず、楽しく勉強している姿を見ることが出来ます。自分がユニークでも周りから浮いたりしません。同調圧力もありません。誰も私のバックグラウンドや年齢を元に私自身をジャッジしません。自分が自分らしくいても、誰からもその事で責められたり、バッシングされることはないのです。


私はこのアメリカという周囲に自分自身を合わせなくても良い環境で、伸び伸びと勉強に専念することが出来、勉強することをとても面白く感じられるようになりました。更に、結果を出せば出す程教授や周りに褒めて貰えるおかげで、自尊心を高めることが出来ました。自尊心が高まると、それまでの自分なら臆していたような事にもチャレンジしたり、難しいと思える事も頑張ろうという気持ちになります。


結果、私はUC BerkeleyとUCLAに合格する事が出来た上に、UC Irvineからは奨学金のオファーも頂きました。学校嫌いで落第生だった当時の自分が今の自分を見たら信じられないでしょうね。私はアメリカの大学に来て、周囲の環境がいかに個人のポテンシャルに大きな作用を及ぼすものかを知りました。私は日本の学校という、常に周囲の顔色を伺い心を摩耗していた環境では落ちこぼれでしたが、このアメリカという自分が自分らしくいられる環境では、自分のポテンシャルを引き出す事が出来ました。日本で自分の事を落ちこぼれだと思っている人にこそ、アメリカの大学でチャレンジして欲しいです。



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